サンタとパラレルワールド

小さい頃サンタを信じてたことはたぶん一瞬もなかった。
何かを目撃してしまったわけでもないのに、身近な人がサンタを代行してることを最初から知っていた。
サンタへの手紙を書くイベントが家や幼稚園で発生するけど、ほとんど七夕の短冊くらいの心持ちで儀礼的に書いていた。

 

一方で20歳くらいまでパラレルワールドタイムリープを信じてた。
引き返せないものとして時間を捉えるのは、人間の寿命が100年もないために、小さい定規でしか時間を観測できないからで、
もしも宇宙全体を見渡せるくらい遠く離れて見ることができたら、全ての時間と現象は同じ瞬間に並んでてもおかしくないような気がしてた。その中で時間がずれたり、隣の時間と合流したりすることも、起こらないとも言い切れないと思ってた。


今はよく分からない。タイムリープしてても気付いてないかも。きっと証明できないんだろうし。

 

パラレルワールド、人生が苦しくて、家にいても学校に行っても、1人でいても2人でいても大人数でいても苦しくて、河川敷でちょうちょが手に止まった瞬間だけ苦しくなかった時期の希望だった。

今はその時期があってくれてよかったと思えるくらいには、今世の自分の生を肯定できている。

パラレルワールド、あったらいろんな立場でいろんな結末を迎えるその世界その世界の自分みんな、自分だからきっと気持ちを分かり合えるんだろうな。苦しすぎて自分すら自分を見放してた時の自分、いろんな世界でうまくやれてたりやれてなかったりする自分、今ここに気持ちが分かるやつが少なくとも1人いるよ。同じくらいのだめなやつがここにいるよ。

 

今年も誕生日が来た。捨てたくて仕方なかった人生を拾い直せてから、次の誕生日で10年になる。